何より、「事実の確認」が大切です。何に関する「トラブル」なのか、それを見極めましょう。次に、「トラブル」の情報を届けた方から、その内容をよく聴き取ります。その上で、「トラブル」の内容に応じて、適切な対処をします。
トラブルは、法的問題を含む場合がほとんどです。したがって、法的問題の専門家である弁護士のサポートはとても有益です。でも多くの方は、気軽に相談できる弁護士をご存じないと思います。でも、大丈夫。当事務所の「ちょこっと顧問」システムをご利用いただければ、月々5,000円で、弁護士からの適切なアドバイスを受けることができます。詳しくは、「ちょこっと顧問」へ
怖くて全然問題ありません。ただ冷静にクレーマーの話に耳を傾ける姿勢は確保しましょう。できれば、複数で対応します。また、予め、受付内側に録音器を設置し、受付事務の者に、速やかに録音させる手立てを予めとっておきましょう。 怖いからと言って、謝ったり、お金を払ったり、クレーマーの言うがままになることだけは避けます。どんなに怖くても、最初は、「あなたのご主張は承りました。こちらで、改めて事実関係を調査し、できるだけ早く回答いたします。今日のところはお引き取り下さい。」と、これだけは伝えられるようにしましょう。
医療機関には、第三者から患者に関するいろんな問い合わせがきます。例えば、調剤薬局からの問い合わせで、誤投薬が判明する場合もあります。また、保険者からの問い合わせで、不正請求が判明する場合もあります。
①薬局からの問い合わせについて
薬局が患者に係る情報の提供を医療機関に求めてきた場合、薬局は窓口に見えている患者本人から情報を獲得するのが筋ですから、原則、医療機関が取得した情報を伝えることはしません。ただし、薬剤師は、処方箋に疑義がある場合には、医療機関に疑義を確認した後でなければ、調剤することができません(薬剤師法24条)。そこで、この疑義の確認に必要な個人情報であれば、医療機関が伝えても、適法です。例えば患者持参の「お薬手帳」に「ペニシリンアレルギー」の記載があるにもかかわらず、処方箋にはペニシリン系の薬剤が処方されている場合、この患者の同一性を確認する手段として、保険証記載の情報を伝えることは、許容されます。
②「保険者からの問い合わせ」について
原則、患者の同意が必要です。しかし、患者の同意をいちいち取り付けなくても、次の方法に依る場合には、患者の同意ありと扱われます。その方法とは、個人情報の利用目的に関する院内掲示です(日本医師会「診療に関する個人情報の取扱指針」の書式1参照)。この書式を院内に掲示することにより、患者より異議のないかぎり、第三者への診療情報の提供につき、各患者の同意ありと扱う運用となっています。
③事業所からの問い合わせについて
③を「患者が所属する事業所から医療機関への問い合わせ」という意味として理解した場合、事業所からの問い合わせが、正当化される一例としては、従業員から提出された診断書の内容について疑義が生じた場合であろうと思われます。この場合も本来は、事業者が、従業員たる患者本人に直接確認すべきであり、それでも合理的疑いが残る場合に、事業所から医療機関への問い合わせが行われることになります。
この場合、医療機関側が、患者の同意もなく、診療に係る情報を事業者に伝えることは違法となります。精神科を受診していること、中絶手術を受けることは、通常、当該患者にとって知られたくない事柄に属するからです。
④当院の受診内容に関連して通院している医療機関からの問い合わせについて
これも本来は、通院されている医療機関が患者の同意を得て、こちらの情報を確認すべきものです。したがって、患者の同意がないままで、問い合わせに応じるのは法的には違法です。もっとも、違法であっても実害がない場合には、責任を追及される恐れは限りなく低い、訴えられても怖くない、ということになります。
一般的に患者が医療機関に申し出ていると思われる、住所、電話番号、生年月日、保険情報、当院での受診歴、受診内容については、開示可能ですが、受診歴、受診内容は、医師のみに回答するという対応がよろしいでしょう。
全く問題はありません。警察は民事不介入と言われます。しかし、①院内で大声を挙げたり、②スタッフに掴みかかってきたり、③退室を求めても一向に退室しようとしないケースの場合、立派な刑事事件です。すなわち、①は威力業務妨害罪、ケースによっては脅迫罪、②は暴行罪、③は建造物不退去在になります。