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02オフタイム スキー場における事故の責任について [弁護士 山浦 昂]

2021-11-05

今週から寒くなってまいりました。もう二月もすればウィンタースポーツの季節になります。私もスキーが趣味であり、スキー場のオープンを待ちかねています。
さて、スキー場においては、スキーヤー、スノーボーダーなど多くの人が滑っており、時に利用者同士の接触事故が起きます。本日は、その一例について、どちらに法律上の責任があるのか解説したいと思います。
この点については、最高裁判所の判例(最高裁第二小法廷平成7年3月10日、裁判集民事)があります。
事案の概要は、スキーで大回りで滑っていたYに対して、Yの上方からYよりも早いスピードによりスキーで小回りで滑っていたXが衝突し、Yが転倒して負傷したというものです。
この事件の1審、2審はXの過失を認めませんでした。
これに対して、最高裁は、以下のように判示して、Xの過失を認めました。
「スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負うものというべきところ、前記事実によれば、本件事故現場は急斜面ではなく、本件事故当時、下方を見通すことができたというのであるから、被上告人は、上告人との接触を避けるための措置を採り得る時間的余裕をもって、下方を滑降している上告人を発見することができ、本件事故を回避することができたというべきである。」

スキー、スノーボードどちらにしても、通常後ろを見て滑ることはなく、下を滑っている者が上方からの滑走者を避けることは難しいです。他方、上方滑走者はターンして進行方向を変える、停止するなど衝突を回避することができる場合が多いです。そのため、基本的に上方滑走者の責任が重くなります。
実際に、上方滑走者に10割の過失を認めた裁判例があります(東京高裁平成18年12月7日・判時1973号55頁、さいたま地裁熊谷支部平成30年2月5日・判タ1452号179頁、等)。
しかし、例外的に下方滑走者にも同等の責任が生じる場合もあります。例えば、東京高裁平成24年12月19日判決(ウエストロー・ジャパン2012WLJPCA12196002)においては、下方滑走者が転倒後に停まることができたにもかかわらず、停止せずにコースを斜めに横切るように滑り続けた危険性を重視して、下方滑走者に5割の過失を認めています。
滑るときは周りをよく見て、安全に注意して滑りましょう。